はじめに

個々人のクセやレベル、そして行うべき課題の見極め、アーティキュレーションの提示、場合によっては練習課題のカスタマイズ….など、本来のレッスンは対面方式であるべきと考えてはおりますが、なかなかレッスン内での反復練習にまでは時間が割けないのも事実なのです。特にフレットレス奏法のトレーニングに至っては手薄になりがちで、これはまずいなと思っていたところ。
そこで、レッスン内だけではなかなか集中して取り上げられない「フレットレスの練習帳」、サイトに載せてみることにいたしました。あくまで私のレッスン内容反復のための補助資料であり、具体的な方法論や注意点など、言葉足らずで伝わりにくい部分がありますが、興味有る方はどうぞ時間をかけて、何度もじっくりと練習してみてください。

大まかな構成としては、PART1~3の基礎トレーニング(主にクラシカルなエチュードを使った、音程感覚強化とフォームの強化)と、PART4「Groove」、そして「毎日更新!フレットレスのフレーズ練習帳」による総合的なフレーズ練習です。

 

フレットレスの一番のポイント(いや、あらゆる器楽奏法修得のポイントでもあります)は「耳を育てる」ことです。反復の練習を通じて、樹木に毎日水やりをするように、じっくりとご自分の耳を育てていってください!フレットレスの課題は「一度弾けたからOK」ではなく、何度も繰り返し練習すべきものを載せています。修得すべき音程感覚・運指、そして修正力。さまざまな要素が散りばめられております。是非先のページへ進むことを目的とはせずに、音を磨き続けてください!

 

 

【How To】

それではまず、最初にポジション(位置)とフォーム(手の形)の関係を覚えてください。「h.p」との記載は「ハーフポジション」の意味です。開放弦~3フレットまでをカバーするポジションで、しばらくはこの練習をみっちりやります。このポジションでは必ず下記のフォームで押弦します。

フォーム①3フレットフォー3Fフォーム)」(※当サイトの造語です)

人差し指が1フレット、中指が2フレット、(薬指ではなく)小指が3フレットを押さえます。
古くからコントラバスの練習はこのフォームから入ります。フレッテッド・フレットレス問わず、エレキベースにおいても非常に役に立つフォームですので、是非練習してみてください。流れるような綺麗な運指になりますし、音色も違います!(この点、特にコントラバスの世界では、薬指は必ず中指にくっつけるようにコントールするように言われることもありますが、当メソッドではそこまで厳格な様式は求めません。プロを目指す方用の努力目標、くらいにしておきますね)

 

ここから1フレット分ポジションが上がるごとに、1stポジション(人差し指が2F、中指が3F、小指が4F)→2ndポジション(人差し指が3F、中指が4F、小指が5F)とポジションの呼び名も上がっていきます。

 

もう一つのフォームとして、
1f-1fgr」(ワンフレットワンフィンガー)があります。エレキベースではお馴染みの押弦フォームで、ひとつの指がひとつのフレットを担当することから付いた名前でしょう。細かい動きが要求される速いパッセージで使いますが、中指と薬指の間は開きづらいので、特にフレットレスでは正確性に欠けるところがあります。音も「3フレットフォーム」よりやや軽くなると私は感じています。当サイトの本編基礎トレーニング(PART1~3)内では使いません。基本的に当サイトでは、なるべく3フレットフォームで押弦しつつ、あくまで補助的に「1f-1fgr」を使う、というスタンスをとります。

 

下記にフォーム確認のための参考楽譜と音源をのせてみます。調号が少し大変なように見えますが、メジャースケールを半音づつ上昇させているだけです。下に書いてある指番号を確認しながら、一度は追ってみてください。

 

 

 

上記音源同様、これから挙げる基礎の練習ドリルは、テンポもゆっくりで、長い音価のものが多いです。あなたの「あせり」を取り除き、音程・音価(長さ)を意識して演奏していただきたいからです。是非、コントラバスやチェロなどを弓で朗々と弾くようなイメージで、長い音価と正確な音程を意識して「歌って」くださいね。少々退屈になるかもなと思いつつ、基本のテンポ設定は四分音符で60です。慣れた方用に四分音符で80の音源も用意いたしました(Part1~Part3までのみ)。

 

当初の課題は、

PART1【基礎トレーニング「h.p」(ハーフポジション)】
PART2【Scale(スケール)】
PART3【Arpeggio(アルペジオ)】
PART4 【Groove
PART5 【2beatから作る基礎的なジャズベースライン

の5セクションに分かれています。ここまで大きく括って基礎編としての扱いです。上述のように、すべて「3フレットフォーム」にて演奏いたします。これは、中指・小指の強化とともに、滑らかなシフト(親指位置の変化を伴う「ポジション移動」のこと)を得るためです。

 

【練習課題の順序について】
フレットレスの体系立てられたトレーニングを受けたことのないまったく初めての方は、「PART1 基礎トレーニング「h.p」(ハーフポジション)」から順に始めてください。おおよその目安ですが、NO.10くらいまでいったら「PART2  Scale」編に併行して取り掛かかって頂いて大丈夫でしょう。ポジションの移動について充分理解が進んだら、その後の「PART3 Arpeggio」編へと進んでください。

もちろん、ある程度弾いてきた経験者の方は、最初から併行して【Arpeggio】や【Scale】課題もどうぞ!jazzを実際に演奏している方にとっては、簡単に出来ることばかりと思いますが、音程の練習などは何十回やっても損はありませんし、この部分の基礎固めが良い音を作ります。Part4の「Groove」は内容としては少々難しいです。経験者の方は早めに取り組んでいただいて構いませんが、まず重要なのはやはりPart1~Part3であることはお忘れなく!

※2017.11.14     Part5 「2beatから作る基礎的なジャズベースライン」アップいたしました。4ビートなどを早くやりたい方、こちらも早めにどうぞ。

 

「毎日更新!フレットレスのフレーズ練習帳」は気付いたところから、どこからやっていただいても構いません。レベルは関係なく挙げていきますので、すぐには出来なくても構いません。遊び感覚で大丈夫。毎日の練習の契機にでもなれば。

 

さて、前置きが長くなってしまいました。それでは始めていきましょうか!
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